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2021年1月27日に、日本・マレーシアのデジタルコンテンツ産業に係るオンラインイベントが開催されましたので、その様子をレポートします。
1)イベント概要
今回のイベントは、日本マレーシア経済協議会主催、マレーシア貿易開発公社並びマレーシア・デジタルエコノミー公社後援のイベントで、主催者や登壇者を除き約250名が日馬両国から参加し、約3時間に亘り行われました。イベントはオンライン会議システム『zoom』を使用し、日本語英語の同時通訳システムを入れながら進行されました。
セッションは前後半の2部に分かれ、前半では日馬のクリエイティブ業界に関する総合的なデータに関する講義が行われ、マレーシア側からは同国内のデジタルコンテンツ産業の現状や、マレーシアで同産業に関するビジネスを開始することの利点などが説明され、また日本側からは、日本のデジタルコンテンツ産業の経済的面から見た現状や、今後の予測に関する説明がありました。
後半は、マレーシア国内のデジタルコンテンツ制作に係る企業4社、Glow Production 、Streamline Studios、プレイステーション・スタジオ・マレーシア、バンダイナムコ・マレーシアの代表者が実際に登壇し、各企業ごとの経験などを基に、独自のトピックで講演を行いました。Glow Production は2011年設立の比較的若い制作プロダクションとして、日本のプロダクションサポートの実績や今後の展望について、講演されていました。プレイステーション・スタジオ・マレーシアは、マレーシアスタジオ開設は2020年後半とごく最近のことながら、世界屈指の開発スタジオがマレーシアオフィスを開設するメリットなどを、マレーシアのデジタルコンテンツ産業の現状を踏まえながら、説明が行われました。バンダイナムコ・マレーシアからは、海外スタジオを設立し、これまでの数年間でスタジオやスタッフたちが、どのように成長していったかを、日本企業らしい目線での戦略が練られつつ行われた様子を、講演されていました。
弊社Streamline Studiosからは、ジェネラルマネージャーのリチャード・シェが、長年にわたる日本のプロダクションとのコラボレーション実績を基に、ビジネス文化や言語の違いによるビジネスの難しさや、それを乗り越えるための工夫、パンデミック後国境を越えどのように日本のプロダクションとの信頼関係を維持していくかといったトピックを、Day Zero by Streamlineの英日通訳の和田と共に、参加者に向け講演しました。
2)総評
今回のイベントは、日本、マレーシアの経済協議会やデジタルコンテンツ庁が主催し、パンデミックで様々な変化があった後の、2国間のデジタル産業を繋げる貴重な1回でした。日馬間の主要な輸出品目といえば、イメージと違わず自然エネルギーや半導体などの製造関係が半数以上を占めますが、クリエイティブ業界としても実は繋がりが深く、特にアウトソーシング先として、既に様々な日系企業がコンテンツ作成のサポートを依頼しています。
今回印象的だったのが、登壇者誰もが口にした『若手人材のスキル』と『情熱』で、日本のゲームに慣れ親しんだ30~40代の人材と、更に世界中のクリエイティブコンテンツに囲まれて育った10代後半~20代の、混ざり合った感性と、成長と変化に富んだクリエイティブ業界の環境のお陰で、才能ある人材が更に活躍するチャンスを掴むことができるのだと感じることができました。また、講義でも少し触れていましたが、マレーシアは高等教育の一種としてアートやゲーム専攻など、若いうちから(または、年齢を問わず)デジタルコンテンツを、娯楽としてだけでなく教育・専門知識として学ぶ環境が既に整っていることで、自分自身のキャリアとしてデジタルコンテンツ、クリエイティブ業界を選択することが、より身近になっていることがわかりました。
今回はビジネスマッチングではなく、あくまで講義であり交流の場ではなかったため、どういった業界がマレーシアのデジタルコンテンツ産業に興味を持っているのか、またマレーシア側はどういった機会を求めているかなど、コアとなる部分は見えなかったので、こういった場から発展し、両国がデジタルコンテンツ産業でより協力していけるよう、今後の展開に期待したいと考えています。
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